大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和32(オ)1195 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士辻仙二、同古川豊吉の上告理由第二点について。

しかし、所論の点に関する原判決挙示の証拠に照せば被上告人は善意の受益者で

あつたと認定できないわけのものではなく、そして本件売買契約の時期が所論のと

おりであつても、その故に被上告人を悪意と推定しなければならないわけのもので

もない。所論はひつきよう原審の専権に属する事実認定を非難するものでしかなく、

採るを得ない。

同第一点について。

しかし、被上告人が善意の受益者であり、悪意のなかつたことは前示のとおりで

あるから、被上告人が悪意の受益者であることを前提としてのみ審究さるべき所論

はここに論議に値しない(なお、蛇足的に附言するが本件建物については判示抵当

権の設定及び登記がしてあつたから判示抵当債権を超える限度のみが本件否認権の

対象となる筋合であるが、建物は不可分であるから否認権行使の効果として建物全

部について所有権取得登記の抹消登記及び建物全部の引渡を求めることはできない

とした原判決の判断は正当である―明治四四年一一月二〇日大正八年四月一二日同

八年三月一八日各言渡各大審院判決参照―所論引用の判例は本件と事実関係を異に

し本件に必ずしも適切のものとは認められない。)。

よつて、民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で

主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

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裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 高 木 常 七

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